8年間で120名の新人漁師を洋上に送り出した漁師リクルーターの吉田事務局長！
漁師リクルーターの吉田事務局長は
宮城県気仙沼市の遠洋まぐろ漁船、遠洋かつお漁船、近海まぐろ漁船等の
船主団体である宮城県北部船主協会に30年勤務し
船主に代わって漁業の魅力を乗船希望者へ伝えながら漁師志願者と
かつおまぐろ漁船とのマッチングを主な仕事としている
事務局長兼漁師リクルーターという二つの肩書を持つ吉田さんから
新人船員の就職状況と遠洋かつおまぐろ漁船の仕事や生活
収入などの話しを伺いました
吉田事務局長は8年間で120人以上の新人船員を洋上に送り出しています
震災の翌年から「漁船員(漁師)になろう！」というブログを始めて
新人船員の日記や船員の求人情報、気仙沼港の入出港船の情報など
写真を交えて発信し続けた結果、吉田事務局長の新人船員への優しさや思いやり気仙沼の水産業や漁業への熱い思いがこもったブログが話題になり
新聞やテレビなどの各種メディアで広く取り上げられました
地元の三陸新報という新聞には毎月
「海の男にあこがれて～新人漁船員乗船記」という新人船員を
紹介するコーナーもあります
遠洋かつおまぐろ漁船の漁師という仕事をありのままに発信することで
漁師という職業を少しでも身近に感じた宮城県内外の多くの若者たちと
地元気仙沼の若者からも漁師志願者が今も増え続けています
吉田事務局長のブログ「漁船員(漁師)になろう！」
http://gyosenin-boshu.net/
遠洋かつおまぐろ漁船の船員募集状況などについて吉田事務局長に話しを 伺いました！
Ｑ）船員になりたいという相談は年間で何件くらいありますか？
震災後、今から4～5年前のピーク時は年間100件以上の問合せも
ありましたが、今は年間30件程度のかつおまぐろ漁船への乗船希望に
関する問合せがあります
実際に乗船するのは問合せの数から半分の年間15人くらいです
年間約100件の問合せがあった時期は電話を取るだけで一日が過ぎました
都市伝説的な「若者を稼がせるために乗せたい！」という
本人以外からの問合せが多く来た時期もありますが
実際にそのような問合せで乗船することは一切ありません
そういった都市伝説的な対策はインターネット上の検索キーワードの浄化
正しい遠洋かつおまぐろ漁船の新人船員情報をブログに載せたり
新聞やメディアで発信し続けたら自然にそういった都市伝説的な
乗船希望者本人以外からの問い合わせは少なくなりました
遠洋まぐろ漁業の船主さんである
勝倉さんの勝栄丸ブログ（http://shoeimaru.da-te.jp/）
濱田さんの清福丸ブログ（https://ameblo.jp/seifukumaru）でも
遠洋まぐろ漁業の正しい情報がブログの記事で掲載されていますので
今では乗船したいという本人の気持ちがしっかりしている
若者からの問合せしか連絡は来なくなりました
そういった意味では、漁師の仕事に興味のある問合せの
本気度は高くなりましたね
Ｑ）吉田事務局長が遠洋まぐろ漁船に紹介した新人船員の年齢は？
新規学卒で乗船する１８歳から２５歳くらいまでが多いです
平均年齢は２２歳くらいでしょうか
Ｑ）乗船希望者の問合せは本人からですか、それとも父兄からですか？
学卒者の場合は水産高校の先生から問合せのケースもあります
中学2年生と高校2年生が多いですかね
また乗船したいという学生本人がインターネットで調べて
私のブログ「漁船員(漁師)になろう！」にたどり着いて
本人が学校の先生に相談して、先生から私に連絡が来るケースもあります
漁師になりたいという問合せは気仙沼以外からも多いです
年齢は15歳であったり、性格的にはわんぱく坊主もいたり
ごくごく普通の勉強が苦手で働きたい学生や
活発でスポーツも好きで友達が多い人からの問合せも普通にありますね
漁師になりたいという学生からの問合せに共通して言えることは
「漁師になりたいという強い思いがある」
「人が出来ないような仕事をしたい」です
昨年の9月には、同時期に8人一気に乗りたいとい人から連絡があった
最終的には6人が気仙沼まで来てまぐろ船の見学、船主との懇談会を行った
6人の共通点は6人とも「YouTubeでベーリング海のカニ漁を観た！」
「ベーリング海のカニ漁の映像を観て感銘を受けた！」
「荒波の中で、人には出来ない大変な漁師の仕事をしてみたい！」
という考えから、遠洋まぐろ漁船にたどりついた若者でした
普通の人が経験したことがないような仕事をしたい
自分だけしか出来ない仕事、日本だとまぐろ漁船が
過酷であろうという発想ですね
気仙沼に同時期に集まった遠洋まぐろ漁師希望の6人から
奥さんの反対で乗船出来なかった既婚者もいたりして
結局は気仙沼に集まった6人から独身者の2人が乗船することになった
漁師希望者には極力気仙沼に来て、実際に漁船に乗って頂いています
北は北海道や大阪から自費で漁師希望者の皆さんは来ている
遠方から長距離バスで日帰りの弾丸ツアーで来る人もいます
そこから次の段階になり、面接になると本人負担ではなく
最近では全額こちら側で往復の交通費を負担します
最初の見学だけは皆さん自費で来ている
Ｑ）現在遠洋かつおまぐろ漁船で募集中の新人船員は（甲板、機関など）？
求人は機関長も不足しているため機関員の募集が多いです
本心としては機関場の機関員が欲しいのですが甲板と機関両方
ひととおおり沖でどちらの仕事もしながら
OJT（オン・ザ・ジョブ・トレーニング）を行い
自分が適した職務についている
実際にはOJT中に機関長と気が合ったり
機関長に仕事を教えて頂くなかで機関長に憧れたりした時には
機関場志望になることもある
Ｑ）リクルートした新人船員の前職は、学生からの乗船が多いですか？
Ｑ）リクルートした新人船員の前職は、
学生からの乗船が多いですか？
3分の１が学卒の年もあるし、年間10人以上が学卒の年もあります
だいたい3分の１が学卒、3分の2が一般サラリーマンからの転職です
Ｑ）漁師の仕事未経験者でも就職している若者はいますか
全員が未経験です
経験がある方は新人ではないので
私がリクルートした120人には入っていないです
Ｑ）今まで吉田事務局長がリクルートした新人船員120名はどちらの出身者が
多いですか？また、遠方からのリクルーターはどちらの県でしょうか？
乗船人数は東北、宮城県が多いです
以前は一時期、東北の空洞化がありました
その時には宮城県外から船員希望者を呼んでいたのですが
最近は地元気仙沼も多くて、今は宮城県からの乗船が一番多いです
Ｑ）乗船希望者と漁船とのマッチングはどうしているのか教えてください
漁船の船主さんのニーズと本人との面接で感じたインスピレーションや
各漁船の乗組員のメンバー、主な漁場を思い浮かべて
新人と合う良き先輩がいそうな船とかをじっくり考えながら
新人船員とのマッチングをします
新人船員とかつおまぐろ漁船とのマッチングに関しては
準会員なども含めると、全21社58隻の船から新人船員のマッチングを
一任されている状況です
Ｑ）船主さんが求める新人船員の条件とかあればなにか教えてください
体格が良い方がいいのかなとか考えると思いますが
体格はまったく関係ない
その人の気持ちの根っこにある
「乗船したい！」という気持ちが大事
特に言えるのは「途中で投げ出さない！」、
「漁船に乗り続けたい！」という本人の強い気持ちと
とにかく礼儀がきっちり出来る人を求めています
Ｑ）サラリーマンや身近な仕事だとコンビニのバイトも人材不足という
最近の状況ですが船員不足の気仙沼の浜の声を聞かせてください
気仙沼は人口減になっている
内航船、商船、漁船、船乗りも人材不足の状況です
船乗りは機械化が出来ないので非常に深刻です
船員がいないと船が動かない
気仙沼で子供が生まれるのは年間300人を割っている状況です
想像以上に気仙沼の人口減は深刻です
職業選択の一つとして漁船員を考えて頂きたい
とにかく船員という職業を世の中に押し出していきたいという思いです！
Ｑ）かつおまぐろ船主が望む海技資格の取得資格と何年目から海技免状に
チャレンジできるのか教えてください
海技資格が取得出来るのは乗船後3年です
4級海技士の養成施設としては全国の高校で6校あります
気仙沼の気仙沼向洋高校、山口県の大津緑洋高校、福岡県立水産高校、
長崎鶴洋高校、宮崎海洋高校、鹿児島水産高校があります
順調にいけば1年9か月くらいで4級海技士の受験が出来ます
また、４級海技士養成コースを活用すれば、水産高校での
乗船実習を含め9ヶ月で4級海技士を取得できるようになったのは嬉しいことですね
海技士資格を取得すると収入も増えるので新人船員には
航海の途中の海外の港から飛行機で日本に海技士の講習会のために帰るとか
次の航海には乗船しないで講習会を受講して頂いたり
早めに海技士の資格を取得出来るように考えています
【取材協力】
宮城県北部船主協会
事務長兼漁師リクルーター
吉田鶴男 様
BLOG「漁船員になろう！」
http://gyosenin-boshu.net/
吉田事務局長 様
協力ありがとうございました
かつおまぐろぽーたる事務局 佐藤
